飲食店の開業に必要な資格と営業許可・手続きをまとめてご紹介

飮食店を始めにあたって必ず必要になるのが「開業資格」と「営業許可」。

お店の開店準備などでついつい後回しにしがちですが、先送りにできないものもいくつかあります。

そこで今回はお店を開店させる時に知っておきたいこと、必要な「開業資格」と「営業許可」をまとめてご紹介します!

知っておきたい開業の流れ

開業資格・営業資格を取得する前に、まずはお店のコンセプト・物件・内装を決めなければなりません。
その3つが決まり、お店の設計図などを内装業者に造ってもらったら、保健所に行って「このお店のコンセプトで、こういう設計でお店を開いてもいいか」ということを聞いてください。

そこで保健所が問題ないと判断されてから施工を開始しましょう。
もし保健所の判断がないままお店の施工を始めてしまって、いざ営業許可を取ろうとした時に保健所から許可が出ないと時間もお金も無駄になってしまいます。

たとえば、南青山の人気焼肉屋店『よろにく』の姉妹店『生粋』のように、生肉を提供する飲食店を開業させたいとします。
生肉を提供したいとなると内装含めかなり厳しいチェックが入ります。なので内装業者任せでなく、必ず自分で保健所に行って確認を取って下さい。

飲食店開業に必ず必要な資格は2つだけ

保健所にお店のコンセプトを伝え、アドバイスを受けた上で内装工事などが始まったら、いよいよ開業資格と営業許可の取得を行います。

食品衛生責任者

1つ目は「食品衛生責任者」としての資格です。この資格を持つ人が最低1人いなければお店を開業できません。
「食品衛生責任者」の資格は、各都道府県の「食品衛生協会」などが実施する講習を受けることで取得することが出来ます。

  • 取得方法:6時間の講習受講で取得可能
  • 申込方法:最寄りの食品衛生協会か保健所に問い合わせ(都内の方はこちらから
  • 費用:10,000円程度(都道府県によって異なる)
  • ※食品衛生管理者、栄養士、調理師免許を持っている方はこの資格は不要

なお、平成9年4月1日以降に資格を取得をした方は全国で使えるので再取得は不要です。
修了証は当日に交付されますが、講習の定員数に限りがあるのでお早めの受講をおすすめします。

防火管理者

「防火管理者」は乙種と甲種の2種類あり、どちらも講習に参加することで取得できます。基本的には

・乙種はお店の収容人数が30人以上で、広さが300㎡未満のお店を開く方。
・甲種はお店の収容人数が30人以上で、広さが300㎡以上のお店を開く方。

となっています。しかし「防火管理者資格」を取得する際には、念のためにどちらの資格が必要かこちらのリンク先より確認をして下さい。

  • 取得方法:1日(乙種)・2日(甲)の講習と確認テストの受講で取得可能
  • 申込方法:こちらのホームページから手順に従って申請。
  • 費用:乙種7,000円・甲種8,000円

以上の「食品衛生管理」と「防火管理者」の2つが、飲食店を開業させる時に必ず必要な資格です。

ここで少し特別な資格をご紹介

飲食店の開業に必須な資格をご紹介しました。ここでは、お店のコンセプトによっては必ず取得しなければいけない資格をご紹介します。

ふぐを提供したいお店の方

ふぐ
ふぐを提供したい方に必要な資格が「ふぐ調理師」です(都道府県によって名前が異なります)。
ふぐの調理免許は取得した都道府県でしか利用することができないので、東京で免許を取得した方が大阪府でもふぐを提供するには、大阪府で新たに資格を取得しなければなりません。

地域によって「ふぐ調理師」資格の取得方法が変わるので、この記事では、東京都で「ふぐ調理師」を取得する方法を紹介します。

受験資格

1)調理師免許を取得している方
2)東京都で「ふぐ調理師」の免許を取得した方のもとで、ふぐの取扱に2年以上従事した方

願書の取得方法

1)東京都庁・福祉保健局健康安全部健康安全課(東京都庁第一本庁舎21階南側)
[平日]午前9時から午後5時までの受付
2)築地市場・ 東京都市場衛生検査所(中央区築地五丁目2番1号 築地市場青果棟2階)
[平日]午前9時から午後4時ま30分での受付
[土曜]午前8時から正午まで

願書申請

東京都では例年、5月から6月にかけて募集を行います。今年(2021年)なら令和3年5月10日(月)から6月17日(木)までがその期間となります。
多くの方が申請を行うので待ち時間が発生するので時間の余裕を持って申請して下さい。また毎年日付は違うので必ず確認して応募して下さい。
詳しくはこちらから

費用

19,700円(合格者は免許証の交付申請に別途4,800円必要です。)

試験内容

90分の学科試験と実技試験の2つです。

その他注意事項

「ふぐ調理師」の免許を取得した方は、ふぐ調理師の合格通知書を持って免許証の交付を申請しなければなりません。
申請してから交付まで1週間ほどかかってしまうので、合格通知が来たら早めに免許証の申請を行いましょう。

免許証が手元に来たらふぐ調理師免許を持って、所轄の保健所に届け出を申請することで、お店でふぐを提供できるようになります。

ユッケやタルタルなどの生肉を提供したい方

生肉のユッケ

ユッケやタルタルなどの生肉をお店で提供するには「生食用食肉取扱施設及び認定生食用食肉取扱者届」が必要です。
また免許があれば生肉を提供できる訳でなく、保健所からの指導に従った調理場の衛生管理・指定業者からの仕入れが不可欠になります。

「認定生食用食肉取扱者」の資格自体は講習を受けることで取得できます。詳しくは所轄の保健所に問い合わせてください。

鳥を解体して提供したい方

鶏

1羽丸々の鶏を仕入れ、自分でさばいて提供するには「食鳥処理衛生管理者資格」が必要です。「食鳥処理衛生管理者資格」は登録講習会に参加すれば取得することが出来ます。

講習会の詳細はこちらをご覧ください

生食用牡蠣を提供したい方

牡蠣

生食用のカキを提供するには特別な資格は必要ありませんが、生食用かき取扱い届を届け出を所轄の保健所に出す必要があります。

東京都を例に取ると、届け出には”産地直送の牡蠣を使用する場合”と”市場で買い付けた牡蠣を使用する場合”の2種類の届け出があります。
届け出に必要な書類はこちらのリンク先からダウンロードすることが出来ます。

飲食店開業に必ず必要な営業許可は4つ

飲食店の開業に必要な資格をご紹介しました。
次はお店をオープンさせるにあたって必ず申請する必要がある営業許可をご紹介します!

飲食店営業許可

まず1つ目は「飲食店営業許可」です。「飲食店営業許可」は最寄りの保健所に申請します。
申請書類は保健所で入手するか、区や市のホームページからダウンロードすることができます。

営業許可の申請書は工事が終わる10日前ほどに提出する必要があります。そして施設が完成し、本人立会いの保健所検査が終了したら営業許可書が発行されます。

防火対象物使用開始届

「防火対象物使用開始届」は消防署に提出します。提出期限がお店を使用する7日前までに申請しなくてはいけないのでご注意ください。

必要な書類

防火対象物概要表・案内図(店舗周辺地図)・平面図・立面図・詳細図・断面図・展開図・室内仕上表及び建具表等

火を使用する設備等の設置届

また、お店で火を使うための手続きも必要で、こちらも消防署に提出します。

こちらは火を使用する設備(ガスコンロなど)を設置する前に申請しなくてはいけないので注意してください。

防火対象設備使用開始届

テナントなどの建物やその一部を使用する場合も、使用する7日前まで消防署に届け出を出す必要があります。

基本的には内装業者の方が届け出をしてくれる事が多いようです。

必要に応じて申請しなくてはいけない手続きまとめ

以上がどの飲食店でも申請しなくてはいけない営業許可申請です。
この先は”人を雇う人場合”や”深夜営業を行う場合”ごとに必要な手続きをご紹介します。

従業員を雇う場合に必要な許可

雇用保険の加入手続き

・届け先 公共職業安定所
・期限 雇用日の翌日から10日以内

労災保険の加入手続き

・届け先 労働基準監督署
・期限 雇用日の翌日から10日以内

客数30名を超える場合

防火管理者選任届

・届け先 消防署
・期限 営業開始まで

個人で開業をする方

個人事業の開廃業等届出書

・届け先 税務署
・期限 開業日から1ヶ月以内

深夜12時以降も営業する場合

深夜酒類提供飲食店営業開始届出書

・届出先 警察署
・期限 営業開始の10日前まで

おわりに

以上が飲食店を開業させる時に必要な最低限の資格や営業許可・手続きとなります。後回しにすると忘れがちなので、計画的に手続きをしてください。

※本記事の内容は、2021年4月27日時点の情報です