月商800万円達成!飲食店シェア型フードホールで顧客を魅了する集客戦略とは「29ON 日本橋室町」

JR総武線の新日本橋駅直結、日本橋の歴史が宿る老舗から人気店の新業態まで揃う商業施設「コレド室町1」。
飲食店が軒を連ねる同施設の4階には、複数のシェフたちの料理を一度に楽しめる、約59坪のシェア型フードホール「re:Dine 日本橋室町」があります。

2023年4月から「re:Dine 日本橋室町」に入居している「29ON 日本橋室町」は4人での営業体制で、月商800万円を達成。

完全会員制・完全予約制の業態でありながら、オープン型のフードホールで成功した秘訣、売り上げるため工夫したことなどを「29ON 日本橋室町」の店主・麻生勇太さんにお伺いしました!

オープンキッチンのシェア型フードホールで月商800万円「29ON 日本橋室町」

麻生勇太さん(「29ON」Instagram より)

「29ON 日本橋室町」店主の麻生勇太さんは、レストランや療養施設のキッチンなどを渡り歩いた、飲食経験17年以上のベテランシェフ。
一年半前に「株式会社29ON」に入社し、「29ON 日本橋室町」に配属されるまでは、一度も接客をしたことがなかったのだそう。

オープンキッチンのシェア型フードホールのため、初めてお客様の反応をダイレクトに感じながらコミュニケーションをとるようになったといいます。

▶︎ 「29ON 日本橋室町」公式サイトはこちら

シェア型フードホールの特徴を活かした工夫も

商業施設の一区画、しかもシェア型フードホールで「完全会員制のレストラン」とだけ聞くと、ミスマッチと感じる方も多いのではと思います。

しかし「29ON 日本橋室町」は、シェアキッチンならではの「アットホームな雰囲気」と完全会員制の「隠れ家感」が並び立つ、なんとも居心地の良い空間。

「シェアキッチンなので洗い場などもシェアして、譲り合いながらやる感じですね」と語る麻生さん。

麻生さんを含め、主に4人の若手メンバーで運営している「29ON 日本橋室町」。

元々のメイン業態であった、完全会員制・完全予約制のコース料理の提供に加え、さらに全国から集めた日本酒やワインを飲み放題で楽しめる「酒場風」の区画を作ることで、シェア型フードホールを偶然見つけて「ふらりと立ち寄ったお客様」をも逃がさない工夫を凝らしています。

月商800万円達成の秘訣は「予約の確保」!飽きさせない戦略がキーポイント

麻生さん曰く、月商800万円の内訳はほとんどが「完全会員制・完全予約制のコース提供」とのこと。

毎月1種類のみのコース提供で「なぜそんなに予約が取れるのか?」素朴な疑問をぶつけたところ、その秘訣は、多い時には週1の頻度で行っている「イベント開催」だといいます。

「顧客向けのイベントを週1か、2週に1回は開催しています」

「29ON 日本橋室町」に足を運ぶのは、会員やそのお連れ様。常連様がほとんどのため、コースの内容が毎月違っても、変わり映えしなければ飽きられてしまう、と語る麻生さん。

そこで「肉」にちなんだイベントや、「父の日」や「勤労感謝の日」など、国民の休日に合わせた特別コース料理などを企画して、お客様に「予約する理由」を提供しているのです。
また、予約が薄くなる曜日をあえて狙ってイベントを企画して、売り上げを確保することもあるのだそう。

(麻生さん)「毎月29日(肉の日)に開催している継続イベントなどを合わせれば、週1か、2週に1回は必ずなにかしらのイベントを打ち出しています」。

毎月「通常のコース」を楽しんでくれているお客様が飽きないようにと企画しているイベントですが、「この、企画が楽しみ」とイベント狙いで訪れるお客様も多いのだそうです。

「料理だけ作ってればいいわけじゃない」

「イベント企画では、自分のやりたいことをしていいと社長から言われている」と話す麻生さんは、今の会社に入るまでは一度も「企画書」を作ったことがなかったと言います。

「最初、料理人的には(企画が)“できない”というより、“わからない”が多くて大変でした」と語る麻生さん。

しかし「料理」は彼の専門分野。
どうすれば料理を通してお客様に喜んでもらえるか、経験を踏まえつつ楽しみながら案を出し、スタッフみんなに共有して、話し合うことでイベント企画が育っていくのだそうです。
その遊び心が自然と、お客様を離さない企画力となっているように感じました。

イベント企画はスタッフ全員で作る

「29ON 日本橋室町」では、店主の麻生さんだけでなくスタッフ全員がイベント企画をするのだそう。
4人のスタッフが、企画を持ち寄っては話し合いをして、イベントの内容を決めているといいます。

「喧嘩しながらやってますよ」「でも、必ず2秒で終わる喧嘩です」と話す麻生さん。その言葉から、スタッフ間のコミュニケーションの量が伺えます。

スタッフの強みを活かして多種多様なイベントを企画

新卒で入社したシェフが、管理栄養士の資格を持っているとのことで、夏には彼の考えた「栄養学に基づいた夏バテ防止料理」が実際にテーブルに並びました。
また「勤労感謝の日」には同じく彼が考案した、鴨の北京ダック風仕立てに野菜をたっぷり添えた“元気回復コース”が登場。

スタッフの特色やアイデアを尊重したイベントを、次々と企画、開催しています。

顧客を離さない工夫は「改善を続けること」

多い時には週1ペースで行われる「29ON 日本橋室町」のイベントの告知は、顧客用のメルマガとSNSで行っています。

「いくら料理が美味しくても、誰も知らなければ人は来ないですからね」。
インタビュー終盤になると、しみじみとそう語る麻生さん。

「29ON 日本橋室町」では、SNSにコンテンツを投稿しただけで満足せず、過去のポストを定期的に振り返っては、これからのイベントの内容などを決める判断材料にしています。

SNS運用も定例会議を開いて改善策を練る

普段のInstagram投稿も「料理」がいいのか「スタッフの日常風景」か、はたまた文章メインの方が良いのかなど、ユーザーの反応を集計して、定例会議を開き、SNSを改善していく取り組みも常に行なっています。

(麻生さん)「SNSもイベント企画も、振り返りは行うようにしています。反応が良くなかったものは、練り直しにとくに時間を使います」。

「29ON 日本橋室町」では、振り返りと改善を素早く行うことで、お客様のニーズに寄り添った店舗運営が叶っています。

この取り組みができるのは、チーム連携の賜物であるのはもちろんのこと。
加えて、同店が単店よりも設備管理の楽な「シェア型フードホール」であることや、売上集計が自動でできる「キャッシュレス決済」を導入していることなど、こまめな定例会議を行える「時間のゆとり」も理由のひとつかもしれません。

実際、取材でお店に足を運んだ際、店舗運営に追われる様子もなく、スタッフ同士が落ち着いてコミュニケーションをとっている姿が印象的でした。
ここにも、月商800万円の秘訣を垣間見たように感じました。

▶︎ 初期費用20万円で出店できる「シェア型フードホール」とは?(外部リンク)

足りないところをひとつずつ整理して「いつ誰が来ても楽しい店」を作りたい

「色々(イベント)やっていて、いつ来ても楽しい」。最近は、このイメージがお客様に浸透してきた“手応え”を感じていると話す麻生さん。

今後の「29ON 日本橋室町」の展望をお伺いすると、月商800万円の中枢をなす「完全会員制・完全予約制のコース提供」に頼り切らずに、もっと売り上げるお店を目指したいとのこと。

(麻生さん)「これから力を入れたいのは、ランチメニューの強化。昼も夜も稼げるお店を目指したい」「フリー客が楽しめる飲み放題も、もっと認知させたい。とにかくお店を育てるのが、今の目標です」。

現状に満足せず、「足りないところをひとつずつ整理して、さらにかたちを整えていきたい」と語る麻生さん。
「29ON 日本橋室町」が、シェア型フードホールで月商1,000万円を売り上げる日も、もうすぐかもしれません。

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