「サブスク」「サブスクリプション」という単語が最近のビジネス市場を賑わせています。
日本語にすると「月額定額制」などと訳される「サブスク」ですが、そもそもどのような仕組みなのでしょうか。
この記事では、飲食店での「サブスク」についてご説明します。
目次
「サブスク」は「定期購読」と考えるとわかりやすい
サブスクリプションとは、「定額料金を支払うことで、特定の期間、決められたサービスを受けられる」サービスです。
もともとは新聞や雑誌などでおなじみの「定期購読」や「年間購読」などを意味し、そこから転じて「定額制のサービス」といった意味で利用されるようになった言葉です。
「サブスク」は様々な業種で導入されている
「サブスク」という言葉を使っていなくても、様々な業種で「サブスク」は使われています。
たとえば、飲食店でよく使われている「有線放送」も「サブスク」の一種です。
「有線放送」は「毎月定額を支払うと、特定のチャンネルの音楽配信を利用できる」サービス。
実は飲食店では「サブスク」という言葉が一般的になる前からから「サブスク」を利用しているのです。
飲食店が提供する「サブスク」にはどんな種類がある?
飲食店が提供する「サブスク」は、おおむね3種類のモデルに分類できます。
【定額使い放題モデル】
毎月定額を支払うことで、お店のメニューなどを無料で利用できる権利を提供します。
「定額使い放題」の飲食店のメリット
利用者は「通えば通うほど」お得になるため、来店回数が圧倒的に多くなります。
「高い来店頻度」を活かし、関連商品の販売やアップセルなどで収益をつくることができます。
参考
「定額使い放題モデル」事例:coffee mafia西新宿
【割引モデル】
毎月定額を支払うことで「割引」や「トッピング無料」などの権利を提供します。
「割引モデル」の飲食店のメリット
「サブスク」導入においてローリスクである点がメリットとして挙げられます。
「定額使い放題」の場合は利用回数が増えた場合の原価の心配がありますが、割引モデルでは利益が残るようにサービスを設計することで、飲食店の「持ち出し」を最小限に抑えられます。
【会員制モデル】
「会員限定」で来店できる権利や「VIP特典」のようなサービスを提供します。
いわゆる「会員制バー」などに近いかもしれません。
年会費など長期間の会費をいただいて、「お店利用の際の料金をお支払いいただく」モデルです。
「会員制モデル」の飲食店のメリット
このモデルで利用者に提供するのは「特別な権利」で、原価をかけずに会員を集められます。
つまり集めた「年会費」がそのまま利益に直結することが最大のメリットです。
来店前に会費として利益を上げられるため、導入しているお店では商品の原価を高めるなど、利用者に「高い価値」を感じてもらうことができます。
さらに新しい「サブスク」も生まれている。
ここまでに紹介した3種類の「サブスク」以外にも様々な形の「サブスク」が生まれています。
例えば「メーカー系サブスク」。
飲料メーカーなどが自社商品を導入している店舗を横断的に利用できるようにした「サブスク」です。
最近多くのメディアで紹介された例として「CRAFT BEER PASSPORT(クラフトビールパスポート)」があります。
参考
CRAFT BEER PASSPORT(クラフトビールパスポート)公式サイト
これはKIRINの「タップマルシェ」というクラフトビール商品を導入している飲食店で使える「サブスク」。
利用者は月額の会費を払うと「DRAFT BEER PASSPORT」加盟のタップマルシェ導入店で、来店ごとに「クラフトビール1杯無料」で注文できます。
来店されたお客様は無料のビールの他にお料理を注文するので、飲食店はビール1杯の原価でお客様の来店のきっかけを作ることができるのです。
また「エリア系サブスク」という例もあります。
商業施設や商店街などにある飲食店で利用できる「サブスク」で、メーカー系サブスク同様、特定のエリア内にある飲食店の来店のきっかけをつくるものです。
最近の大掛かりな事例としては渋谷区が主催し、区内すべての加盟する飲食店を対象とする「サブスク」があります。
エリアは大きくとも、エリア内にある飲食店の飲食店の来店のきっかけを作る、という考え方に変わりはありません。
「サブスク」は導入の際の設計が重要です
ここまでは「サブスク」のメリットなどを紹介しましたが、飲食店にとって「サブスク」は利益確保のための一つの手段ではあるものの、必ずしも「導入すれば利益を上げる」わけではありません。
過去には「来店ごとに定食無料」という「会員制モデル」を導入したものの、お店側の都合で「会員権の剥奪」などを一部のお客様に行なった結果、お店の評判やブランドを大きく傷つけてしまったというお店や、「定額使い放題モデル」を導入したものの、想定よりもお客様の来店数が多く、結果的に赤字となってしまったお店もあります。
すでに「サブスク」を導入されている店舗などを参考に、どのモデルの「サブスク」がお店と、お客様にとってメリットがあるのかを考え、導入後のオペレーションもきちんと設計した上で「サブスク」を導入する必要があります。