今回のテーマはこの時期要注意の『ノロウィルス』について。
『ノロウイルス』対策を甘く見てしまうとお客さまに辛い思いをさせてしまうだけでなく、営業停止処分にもなってしまいます。
知らなかった、、では済まされない『ノロウィルス』の怖さとその対策について書いてみたいと思います。
目次
牡蠣メニューがうまい時期!だけど・・・
真冬のこの時期は何と言っても魚貝が最高に美味しくなるシーズン!特に12月~2月は牡蠣が最も美味しい時期。生牡蠣や牡蠣鍋、牡蠣フライなど様々な牡蠣料理で、お客さまに最も旬な味をお届けしたいと考えている方も多いのでは?
しかし!ちょっと待って!お店の『ノロウィルス対策』、本当に出来ていますか?
昔からよく言われている「牡蠣は新鮮なら大丈夫」という情報でお客様に提供してませんか?
大事なのは「鮮度」では無く「調理法」!
そもそもノロウィルスは様々な感染経路がありますが、東京福祉保健局によるとカキを含む二枚貝での感染が多く報告されているそうです。
二枚貝の中でも、飲食店で提供される事の多い牡蠣。この牡蠣は餌としてプランクトンを含んだ海水を取り込みます。その量は何と1時間に約20リットル、1日約480リットル!その海水の中にノロウィルスが含まれていると、同時にそれも取り込んでしまい牡蠣の中に蓄積されます。
しかしながら、蓄積されても牡蠣の中でウィルスは増殖しません。
抵抗力の弱いお年寄りや子供、または体調の悪い人がノロウィルスを含んだ牡蠣を生や加熱が不十分な状態で食べると、体内にノロウィルスが入り込み腸内の粘膜によって増殖して食中毒となってしまいます。
なのでどれだけ「鮮度」が良くても、体内にノロウィルスが蓄積された牡蠣を食べてしまえば食中毒の危険性は高まってしまいます。牡蠣提供時に飲食店が最も気をつけなければならない事は「鮮度」ではなく「調理法」なのです。
12月~2月は食中毒事件が最も多い!
出典:国立感染症研究所
前述の通り、飲食店において12〜2月は牡蠣のメニューが圧倒的に増える時期です。特に、「生牡蠣」などは大変おいしく、ついつい生のままでお客様に提供しがちです。
また「酢牡蠣」なども酢を使っている事から、何か殺菌されているようなイメージを持たれがちです。しかしノロウイルスはもちろん酢では死滅しないので、「生牡蠣」と何ら変わりはなく食中毒が起きてしまうリスクがあります。
ノロウイルスは焼き牡蠣でも起こりうる。
鮮度が良ければ大丈夫と思われてしまいがちな牡蠣。しかしノロウイルスを含んだ海水を含んっでしまった牡蠣はしっかり焼いて提供しなければなりません。
以前生牡蠣ではなく焼き牡蠣を提供していたにもかかわらずノロウイルスが原因で集団食中毒を起こしてしった飲食店さんがありました。牡蠣の殻の中から熱い牡蠣のエキスがじゅわじゅわと出てくる程しっかりと加熱して牡蠣を提供していたにも関わらず、です。
実はノロウイルスは加熱しただけでは死滅せず、85℃で1分以上加熱しないと死滅しないのです。お店が繁盛し忙しくてついつい一度に焼いてしまい、中まで火が入らない状況でお客さまに提供してしまったのです。
食中毒を起こしてしまうと信頼回復に時間がかかる
食中毒を越してしまうとお客さまに迷惑をかけてしまうだけでなく、およそ3日から1週間程度の営業停止処分になってしまい、ニュースにも取り上げられてしまうことも。
このようなことが起きてしまうとお客さまの信頼を回復させるのも難しく、なかには食中毒が原因でお店を畳まざるを得なくなってしまうこともあるほどです。
ノロウィルス対策・これだけはチェックしよう!
とは言えこのシーズンは牡蠣をお客様に提供し喜んでもらいたいもの。牡蠣に含まれるノロウィルスは正しい知識と対策を講じれば、対応することが出来ます。
そこで店舗で出来るノロウィルス対策をまとめてみます。
調理編
- 牡蠣の芯温を85℃で1分以上加熱する。(焼き牡蠣、牡蠣フライ、全て)
- 生の牡蠣は提供を避ける。
- 牡蠣を扱う器具は専用のものを使う。
- 器具は使用後85℃以上の熱湯で1分以上煮沸する。
その他
- 手を洗う。
- 普段から生牡蠣を食べないようにする。
- 体調が悪い者は(お腹が痛いなどの症状)調理場に入れない。
- アルコール消毒は効果が無く、次亜塩素酸ナトリウムを含んだ洗剤・消毒を使用する。
正しい知識と対策で、ノロウィルスによる食中毒を起こさないよう、万全を期して牡蠣料理を提供しましょう!