麹町『個室創作居酒屋スター』クラフトビールの思い切った値段設定と目立つPOP導入が客単価アップの鍵に

麹町駅から徒歩3分の『個室創作居酒屋スター』は、全席個室と上質な肉料理、ジャンルを問わない豊富な料理とお酒が人気の居酒屋です。

2019年8月に、クラフトビール専用ディスペンサー「タップ・マルシェ」を導入。

以来、圧倒的人気の「スプリングバレー豊潤＜496＞」を筆頭に、クラフトビールがお客様に好評です。

「タップ・マルシェ」を導入した、そしてクラフトビールがお客様に人気の理由を、店長の温伝華さんにうかがいました。

――「タップ・マルシェ」導入の経緯を教えて下さい。

当店では、オープン当初からお酒の種類の豊富さにはこだわっていましたが、生ビールは「一番搾り」のみの提供でした。
やはり人気のハイボールと両輪という感じで深刻な課題があったわけではないんですが、キリンの営業さんに勧められるがままに導入したのが正直なところです。

でも、ビールの種類が増えるのはいいことだし、何でもやってみなければ分からないとも考えていました。
それに、そのとき麹町周辺では、クラフトビールを提供する店が少なかったという事情もあります。

――「タップ・マルシェ」導入後のお客様の反応はいかがでしたか？

導入当初は、お客さんへの認知を上げるため、利益は度外視して1杯390円の価格設定をしたんです。そうすると、予想通りといいましょうか、本当に多くのお客さんがクラフトビールを注文してくれました。認知度も一気に向上したと思います。
その後、450円の時期を経て、今は550円（税込）で提供しています。

――550円でも、お客様にしてみたら相当お得だと思います。思い切りましたね。

お酒の種類は豊富に揃えたいけど、価格はできるだけ抑えたいと考えています。店の立地を考えると、そうせざるを得ないところもありまして。

――というと？

麹町って、夜はだいぶ人が少ないんです。昼間働く人は多いのですが、飲みに行くとしても赤坂、四谷、市ヶ谷あたりに流れていく。それが証拠に、麹町には居酒屋業態はもちろん、夜の店が少ないんです。
さらに、当店はビルの地下にあるので、パッと見にはお店を認識してもらいづらい。そういった事情があるなか、お客さんに来てもらうための施策です。

実際に「タップ・マルシェ」導入以降は来客も増えましたし、客単価も上がっています。クラフトビールのおかげで常連さんも増えてきました。

――お客様に人気の銘柄はなんでしょうか？

一番人気は「スプリングバレー豊潤＜496＞」です。自慢の肉料理にもよく合います。居酒屋なので多彩な料理をラインナップしてますが、どの料理とも相性がいいので喜ばれています。

他の銘柄はいろいろ試してみましたが、今のところは「水曜日のネコ」「よなよなエール」「九州CRAFT日向夏」あたりを定番にしています。
私自身、もともとクラフトビールが好きで、飲んでおいしいと思えることが基準だったりしますが（笑）。

――お客様にはどのようにクラフトビールを勧めるのでしょうか？

どの個室にも「タップ・マルシェ」の写真入りのPOPを掲げています。それで十分。お客さんは壁を見て自然な流れでクラフトビールを注文してくれています。

お客さんにクラフトビールの味わいの違いの説明を求められたときや、シンプルに「生ビール！」と注文されたときには、好みを伺った上でクラフトビールのラインナップについて説明します。
ただ、先回りして勧めることはないです。説明するまでもなく、はじめにクラフトビールを注文される方が多いので。

――「スプリングバレー豊潤＜496＞」について言えば、今年の春からコンビニやスーパーなどでも購入できるようになりました。その影響はありましたか？

「家でも飲めるけど……」みたいなことは言われたことがありません。むしろ、CMなどで認知度が上がったことで、注文が増えています。お客さんにとっても「おいしいビール」という安心材料になって、注文しやすいのだと思います。
実際、お客さんから「缶で飲むのとは違うね」と言っていただけますし、こちらとしては売りやすくなったので大歓迎です（笑）。

――最後に、他の飲食店に向け、プロの立場で「タップ・マルシェ」を勧めるとしたら、どんな点でしょうか？

ディスペンサーを設置できる状況があるなら、悩む前にまず導入したほうがいいと伝えたいですね。
省スペースでクラフトビールの選択肢が増えるのはなによりのメリットだと思うし、その気になればクラフトビールの世界を深堀りできる。
導入にあたってのイニシャルコストを抑えられるので、ウチのように「いいものをできるだけ安く」というコンセプトの店にはぴったりですよ。